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あなたが消えない
第12章 刻み込む
翔の声が漏れる度に、私はその声だけでも、気持ちが高ぶって、ゴクリと何度も生唾を飲み込みながら、強弱を付けて、握ったモノを擦った。

「…んんっ…あっ…いい…」

翔は、息がさっきよりも荒くなって。

私もそんな翔に興奮して、

「翔…キモチイイの?…どこがキモチイイの?」

「…あっ…うっ…」

「ここ?」

私はわざと聞く。

どんなふうに、答えるの?

「先の方…」

「翔はいつも、ここが敏感なんだね」

私は先の方を、柔らかく握り優しく擦る。

「んんっ…翼…」

「翔?…出ちゃう?」

「…ヤバいかも…」

翔は悶えながら、困った感じで私を見るから。

「やめる?」

「いいや、もう少しだけして?」

翔は起き上がり膝を曲げて、私の顔に突き立てた。

私は手と口で、翔に見せるよう口に含ませながら何度も擦った。

翔は見下すあの冷たい視線で、自身の有り様を見つめていた。

「翼…もし俺が人生で、後悔するとしたなら…妻に出会う前に…おまえと出会いたかった」

私はその言葉に、翔を見上げた。

「…あまり人生や出会いや恋愛だとかで、深く悩まされたり、後悔したり…今までそんな事を考えた事がなかった…だけど…だけど、俺は翼に出会って、こんなにも人に対して求める愛情があっただなんて…思いもしなかった…」

私は手を止める。

「止めるな…止めないでくれ…キモチイイまま…俺は翼に伝えたい」

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