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モーニングコーヒー
第1章 レベル1〜キャラを作成する
これって…ボサノバっていうヤツだっけ?
俺の働いてるカフェとかでも時々流れてるヤツ。


りんさんは、時折、瞳を閉じながら、
身体を揺らして気持ちよさそうに歌う。

英語じゃないけど、
なんか、心地良くてカッコいい。


アントニオのギターも、
メチャメチャ上手いのは、
素人の俺でも判った。

なんか複雑な響きで、
フォークギターでジャンジャカとコードを押さえてかき鳴らすのとは全く違っていた。


時々、ギターの本体を軽く叩いたり弾いたりして、
パーカッションみたいな音も入れる。


りんさんも曲によって、小さいタマゴみたいなのを振ったりしてる。


呑み食いしていたお客を見ると、
半分くらいは外国人で、
手を止めて楽しそうに手を叩いたり、
歌ったりもしている。


なんか、俺だけアウェイだった。



40分くらい歌って、
多分、アンコールになって、
聴いたことのある曲を歌ってから、
お辞儀をすると戻ってきた。


途中の席の人が呼び止めては、
りんさんの頬にキスをしたり、
ハグをしていて、
中には小さい花束を持ってるオヤジも居た。



「あの…びっくりしちゃって…。
歌うって、カラオケとかだと思って…」


「りんは、カラオケなんかじゃ歌わないよ?」と、
アントニオがつまらないことを言うオトコだって顔をして俺に言った。


「しゅうと?
本当に失礼なこと、言わないで?
私が無理にお願いしたんだから!」と、りんさんが言うと、
プイッと立ち上がって、
ステージの楽器を片付けて始めていた。


そして、席に戻ると、
「ごゆっくり!」と言ってニヤリと笑うと、
りんさんが白い封筒を渡しながら、
「はい!
今日のギャラですって。
無駄遣いしちゃダメよ?」


「はいはい。
そんじゃ、また!」と言って、
りんさんの頬にキスをしてから立ち上がって、

店主らしき人にも挨拶とハグしてギターを抱えて出て行ってしまった。
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