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モーニングコーヒー
第3章 レベル3〜スゴイ勘違い
「ほら?
ちゃんと2時間で辞めたよ?」と言いながら、
秀人がダイニングテーブルのトコに来ると、
「ピアノの練習してきて良い?
あっちの家だと、あんまり良い顔、されないから」と言って、
奥の部屋に行ってしまう。


「ピアノ、あるんだ?」

「防音のお部屋に置いてるの。
秀人は音大に行きたいって言ってて…。
でも、父親が許してくれないからってね」

「そうなんだ。
やりたいコト、あるなら、
そっちに行けば良いのに。
勿体ない。
やりたいコト、ないくせに、
取り敢えず大学とか、無駄じゃん」

「医学部に行かせたいのよね。
自分も医者だからって」

「うわ。
うちとおんなじだな」

「えっ?」

「オヤジは大学病院の医師で、
叔父さんとかも開業医だったから、
そりゃ、医学部行けって煩かったよ。
勿論、立派な仕事だとは思うけど、
俺、命を預けられるとか重たくて無理って思って、
3年に上がるタイミングで勝手に転部したら、
勘当されたからな」

「勘当?」

「そ。
出て行け!って。
母親が庇ってくれるかと思ったけど、
オヤジと一緒になってカンカンでさ。
それで、ばあちゃんが見兼ねてこっそり、
『うちにおいで』って言ってくれて。
そしたら、ばあちゃんとオヤジの仲も悪くなっちゃって、最悪。
去年、ばあちゃんも死んじゃって、
その家、俺名義になってたけど独りでは大きすぎて、
取り敢えずそのままにして、
今はワンルームマンションで一人暮らししてるんだよね。
親とは、ばあちゃんの葬式で会ったくらいで、
口もきいてないよ。
おまけに、ヤクザな生活だしね?」と笑うと、
りんさんは神妙な顔をしていた。
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