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モーニングコーヒー
第3章 レベル3〜スゴイ勘違い
「月曜日に会社に申し出たので、
今月で出社は終わります。
その後、約1ヶ月は有給消化になります。
2ヶ月前に言わないと退職出来ないから…」


「ふーん。
えっ?
仕事、辞めるの?」


りんさんは、真面目な顔で頷く。


「2ヶ月経ったら、きちんとお付き合い出来ますから、
少し待っててくださいね?」


「えっ?
恋愛禁止の会社なの?」


「えっと…。
反社の方とはお付き合いしてはいけないって規定にあるの。
会社もだけど、お客様にも影響あるといけないから…」


「んっ?
反社って…?」


りんさんは、下を向いて少し震えているようだったけど、
上を向いて俺の顔を見て言った。


「駿さん、
ヤクザさんなんでしょ?
それだと、お付き合い出来ないから。
だから、会社を辞めることにしたの。
個人なら、周りにご迷惑掛けないでしょ?
大丈夫です。
脱いだら背中に龍とか、描いてあっても、
覚悟しましたから。
でも、秀人とも縁を切らないとダメかもしれませんね?」


「えええっ?」


「後は、何をしないといけないのかしら?
私の両親はブラジルに居るし、
親戚も殆ど、海外だから、
別に縁を切らなくても大丈夫?
よくわからないけど、
本当にお付き合いして、
正式に結婚するとかになって、
親分さんとかにご挨拶とかする時は、
着物なの?」


俺、ポカンとした後、
笑ってしまった。


「りんさん、なんか、勘違いしてるよ?
俺、ヤクザとかじゃないよ。
ヤクザな仕事してるけどさ」


「ヤクザの仕事でしょ?」


「違うよ。
ヤクザな仕事。
サラリーマンとか、公務員とかじゃなくて、
好きなことをやって、
日銭を稼ぐような、
不安定なフリーランスの仕事ってこと」


「えっ?
そうなの?
夜、地回りとかしてるのかと思ってて」


「なにそれ?」
俺、可笑しくなっちゃって、
笑いが止まらなくなった。


「だいたいさ、カフェで働くヤクザとか、
あり得ないでしょ?」


「ほら、法改正でしのぎが厳しくなって、
昼間もバイトしてるのかなと」


俺は笑いながらTシャツを脱いで、
背中を見せた。



「龍とか、ないでしょ?」


りんさんも、
「私の早とちり?」と言って、
声を上げて笑い出してしまった。
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