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モーニングコーヒー
第8章 レベル8〜ちょっと哀しい昔話
秀人は少し目を背けながらも、
冷たそうな手をそっと握った。
りんさんは涙ぐみながら、
手を握って、
頬にそっと触れてからキスをしていた。
「お別れ、終わりましたので、
外してください」と、
元夫さんが告げて、
人工呼吸器などが機械が外されていく。
少しずつモニターの音の間隔が長くなり、
やがてグラフが平坦になって、
ピーっという音になった。
医師が時計を確認し、
臨終を告げた。
沈黙に包まれた後、
「後は宜しく」と言って、
彼は出て行ってしまう。
京子さんがバッグの中から手帳を取り出して、
看護師と話をしたり、
電話をしている。
真人先輩は、京子さんから、
先方の弁護士の連絡先を訊いたりしている。
元夫さんがやらなかったからか、
りんさんと秀人が、
看護師さんに言われて、
死に水をとっている。
廊下に出ると、
元夫さんが廊下の先のベンチに座っていた。
俺はなんとなく、
隣に座った。
「これで良かった」
「えっ?」
「最後まで母は、
鈴さんの離婚は認められなくて、
秀人まで居なくなることも知らずにいた。
年寄りの介護で、
実家に帰ってるだけだって思ってた」
俺は何と言ったら良いか判らず黙ってしまう。
「あんなに酷いことされたのに、
鈴さんは優しいな」と言いながら、
見ると涙を流している。
「酷いこと?」
「聞いてないんだ。
本当に酷いことしたよ。
鈴さんのお父さんは、世界的にも有名な脳外科医で、
日系ブラジル人だけど長くニューヨークの大学病院にいた。
今はリオで大きい総合病院をやってるよ。
地域の為にって。
たまたま、教育は日本でってことで、
鈴さんはずっと日本の親戚の家で育っていて、
そこの伯母さんだかお祖母さんとうちの母が知り合いだった。
それで、私とは一回り以上離れているのに、
紹介させて見合い結婚したんだよ。
鈴さんは大学卒業したばかりで、
勿論、バージンだった。
カトリックだって言ってたしね。
でも、私には…。
相思相愛の相手が居たんだ」
「京子さんですか?」
彼は頷いた。
冷たそうな手をそっと握った。
りんさんは涙ぐみながら、
手を握って、
頬にそっと触れてからキスをしていた。
「お別れ、終わりましたので、
外してください」と、
元夫さんが告げて、
人工呼吸器などが機械が外されていく。
少しずつモニターの音の間隔が長くなり、
やがてグラフが平坦になって、
ピーっという音になった。
医師が時計を確認し、
臨終を告げた。
沈黙に包まれた後、
「後は宜しく」と言って、
彼は出て行ってしまう。
京子さんがバッグの中から手帳を取り出して、
看護師と話をしたり、
電話をしている。
真人先輩は、京子さんから、
先方の弁護士の連絡先を訊いたりしている。
元夫さんがやらなかったからか、
りんさんと秀人が、
看護師さんに言われて、
死に水をとっている。
廊下に出ると、
元夫さんが廊下の先のベンチに座っていた。
俺はなんとなく、
隣に座った。
「これで良かった」
「えっ?」
「最後まで母は、
鈴さんの離婚は認められなくて、
秀人まで居なくなることも知らずにいた。
年寄りの介護で、
実家に帰ってるだけだって思ってた」
俺は何と言ったら良いか判らず黙ってしまう。
「あんなに酷いことされたのに、
鈴さんは優しいな」と言いながら、
見ると涙を流している。
「酷いこと?」
「聞いてないんだ。
本当に酷いことしたよ。
鈴さんのお父さんは、世界的にも有名な脳外科医で、
日系ブラジル人だけど長くニューヨークの大学病院にいた。
今はリオで大きい総合病院をやってるよ。
地域の為にって。
たまたま、教育は日本でってことで、
鈴さんはずっと日本の親戚の家で育っていて、
そこの伯母さんだかお祖母さんとうちの母が知り合いだった。
それで、私とは一回り以上離れているのに、
紹介させて見合い結婚したんだよ。
鈴さんは大学卒業したばかりで、
勿論、バージンだった。
カトリックだって言ってたしね。
でも、私には…。
相思相愛の相手が居たんだ」
「京子さんですか?」
彼は頷いた。