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モーニングコーヒー
第8章 レベル8〜ちょっと哀しい昔話
俺は黙って、元夫さんの独り言のような話を聞いた。


「鈴さんはいつでも、優しく笑ってくれてて、
秀人を大切に育てようとしてくれてた。
あんな酷い母にも、黙って微笑んでたよ。
そして、鈴さんを守れず、
きちんと愛してあげることも出来なかった私にも、
必死に尽くそうとしてくれてた。
私は…本当に最低の男だ」と、
身体を震わせて涙を堪えているようだった。


そこに、りんさんが秀人と一緒にやってきた。


「2人でお話?」とりんさんが言うと、
「ちょっとした昔話だよ」と元夫さんは言うと立ち上がった。



「ようやく、気持ちの整理が出来たよ。
京子と再婚する。
子供は出来ないけど、
秀人が居るからな。
君は、駿介くんと秀人と3人で幸せに」と言って、
りんさんに手を差し出した。


りんさんは手を差し出して握手をすると、
そのまま、背伸びをして元夫さんをハグした。



「私じゃなくて、
京子さんが、最初からベターハーフだったの。
私とはうまくいかなくて、ごめんなさい。
でも、秀人を授けてくださって、
本当にありがとう。
私、幸せになります。
それに、貴方が秀人の父親だってことは、
ずっと、変わらないから」と言って、
頬にキスをした。


元夫さんは、
ポロポロと涙を流している。


「ほら!
京子さんに涙を拭いて貰ってくださいな?」と笑うと、
りんさんは京子さんにもハグする。


「いつも、見守ってくださって、
ありがとうございました。
今度こそ、
幸せになってくださいね?」と、
京子さんの頬にキスをした。



元夫さんは、俺にも手を差し出した。
握手をすると、
「鈴さんと秀人を、
宜しくお願いします」と頭を深々と下げた。


俺も黙って、頭を下げた。




そして、3人で帰宅…しようとしたら、
真人先輩が、
「あのー。
後で俺、家に行っても良いかな?
向こうの弁護士の処に立ち寄ってから行くよ。
ちょっと書類の確認、したいから。
色々、早い方が良いだろ?
ついでに、俺も、
ハグとか、キスされたいよ」と言うので、
笑ってしまった。
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