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近くて遠い
第14章 異変
『具合が悪い?』


『はい、ですので夕食はいらない、と…』


古畑の言葉に胸がざわついた。


昨日、無理矢理酒を飲ましたからだろうか…?


考えれば考えるほど、自分のせいのような気がしていてもたってもいられなくなった。


気になって部屋に向かったら、



真希は用意した服も着ず、昨日皿を割ったメイドと普通に話していた。


二人になった部屋で

真希に問い掛けても、

何も返ってこない。

それどころか目も合わさない。



次第にイライラが募るのを感じた。


一体どうしたら、

いいのだろうか…。


そんなにもこいつは俺が憎いのか、と思うと、味わったことのない痛みが胸を貫く──



『抵抗ばかりしやがって…!お前の望みはなんだ!』


知りたい…


何故そんなに涙を流すのか…


『っ……抵抗されるのが嫌なら昼間のメイドさんを部屋に呼べばいいわ!』


真希の言葉に
身体が固まった。


まさか、真希に見られてた……?


はらはらと涙を流す真希に目を奪われた。


『私でなくていいなら、構わないで下さいっ…』


堪えていた何かが溢れでそうだ…


こいつが泣いているのは、俺がメイドを抱いたから…?


目に写る涙は、嫉妬の涙…。



『苦しいんですっ…!』


真希の言葉に、理性が消え去った。


愛しい…


気が付いたら、自分の腕の中に真希がいた。



壊しそうだ…

欲しくて欲しくて、
本能が優位になる。


自分にとって性欲処理でしかなかったメイドとの交わりに、真希が涙を流している…


嫉妬されているということに対する喜びが、
光瑠を興奮を助長させる。

突っ走る気持ちをセーブ出来ない。


欲しい…




"真希"が

欲しい…


そして、
いつもは抵抗する真希が、甘い声を出して自分に身を任せている。


そのことがより一層光瑠を興奮させ、貪欲にさせた。

あんなに繋がることに快感を覚えたのは初めてだった。


足りない…


もっと近くに…


もっと欲しい、


もっと欲されたい…。



絡まる舌の感触。

少し濡れた長い髪からの香り。

身体を震わす甘い声。

吸い込まれそうな潤んだ瞳。

背中に絡まる細くて白い腕。




……全身で
真希を感じた……





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