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近くて遠い
第16章 朝食の味
───────…
真希が調理室から出て、扉の閉まったあと
堪えていたのか、一気に爆発したように調理室は笑いに満ちた。
古畑はクルリと振り返ってメイドたちを見つめた。
「さぁ、君たち、どちらにかける?」
楽しそうに笑う古畑をみてメイドたちは顔を見合わせた。
「いくら真希様でも、ご主人様のフルーツ嫌いは治せないんじゃないかしら…」
「いやいや、あのご主人様に『すまん』と言わせた方よ?絶対召し上がられるわ!」
「でもグレープって一番嫌ってなかったかしら…」
盛り上がるみんなの様子を愛花も笑ってみていた。
隣に佇む老人を見ると、同様にその様子を楽しんでいた。
「古畑さんもお人が悪いですよ…」
「ハハハハ、しかし光瑠様がそんなことをメイドにさせるわけがないのに、信じなさるとは…本当に素直な方だ、ハハハハ」
古畑をしっかりした人だと思っていたが、随分といたずら心のあるようだと愛花は思った。
また、あの虚言を信じるなんて、真希の前での主人は一体どんなにデレデレしてるのだろう…
などと考えると面白かった。
「やっと…この屋敷に笑顔が戻ってきた……」
………
笑いの合間に古畑が洩らした言葉を愛花は聞き逃さなかった。
確かに真希が来てから屋敷全体の雰囲気が少し和やかになっていた。
以前はみんなが光瑠の機嫌を伺い、いつクビにされるかとビクビクしていたので、こんな風にみんなで笑うのは働いて半年の間、初めてのことだった。
「永遠に続けばいいが…」
「え…?」
よく聞き取れなかった古畑の言葉を愛花は首を傾げて聞き返す。
その横顔に垣間見えた一抹の寂しさに愛花はドキッとした。
視線を感じた古畑は我に返ったように顔を明るくさせて愛花を見る。
「さあ、それで、君はどちらにかける?」
少しだけ口角を上げた古畑に、愛花は笑みを返した。
「もちろん、真希様です!」
─────使用人たちの小さな悪戯……
もちろん真希は
そんな悪戯をされてる事を知る術もなく、せっせと食事を運んでいるのだった。
真希が調理室から出て、扉の閉まったあと
堪えていたのか、一気に爆発したように調理室は笑いに満ちた。
古畑はクルリと振り返ってメイドたちを見つめた。
「さぁ、君たち、どちらにかける?」
楽しそうに笑う古畑をみてメイドたちは顔を見合わせた。
「いくら真希様でも、ご主人様のフルーツ嫌いは治せないんじゃないかしら…」
「いやいや、あのご主人様に『すまん』と言わせた方よ?絶対召し上がられるわ!」
「でもグレープって一番嫌ってなかったかしら…」
盛り上がるみんなの様子を愛花も笑ってみていた。
隣に佇む老人を見ると、同様にその様子を楽しんでいた。
「古畑さんもお人が悪いですよ…」
「ハハハハ、しかし光瑠様がそんなことをメイドにさせるわけがないのに、信じなさるとは…本当に素直な方だ、ハハハハ」
古畑をしっかりした人だと思っていたが、随分といたずら心のあるようだと愛花は思った。
また、あの虚言を信じるなんて、真希の前での主人は一体どんなにデレデレしてるのだろう…
などと考えると面白かった。
「やっと…この屋敷に笑顔が戻ってきた……」
………
笑いの合間に古畑が洩らした言葉を愛花は聞き逃さなかった。
確かに真希が来てから屋敷全体の雰囲気が少し和やかになっていた。
以前はみんなが光瑠の機嫌を伺い、いつクビにされるかとビクビクしていたので、こんな風にみんなで笑うのは働いて半年の間、初めてのことだった。
「永遠に続けばいいが…」
「え…?」
よく聞き取れなかった古畑の言葉を愛花は首を傾げて聞き返す。
その横顔に垣間見えた一抹の寂しさに愛花はドキッとした。
視線を感じた古畑は我に返ったように顔を明るくさせて愛花を見る。
「さあ、それで、君はどちらにかける?」
少しだけ口角を上げた古畑に、愛花は笑みを返した。
「もちろん、真希様です!」
─────使用人たちの小さな悪戯……
もちろん真希は
そんな悪戯をされてる事を知る術もなく、せっせと食事を運んでいるのだった。