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近くて遠い
第18章 時計が狂う
知ってる…


私は、この声を……



ぼんやりしながら、



私は後ろを振り返った。




「真希様……?」



古畑さんの心配そうな声は


そのときの私の耳には入っていなかった。




綺麗な黒髪


キリっとした顔立ち。



輝く目は、


どこか遠くを見つめている。



まさか…


そんな…



どうして…




どうしてここに



カナメさんがいるの………?




「古畑さん?
返事がないぞ!
何が一体どうなってる?
人を呼んだ方がいいのか?」



カナメさんは慌てた様子でウロウロとしだした。


私は
驚きでパニックになりながらも

そのカナメさんの姿に違和感を覚えた。





「関根様、落ち着いてください。大丈夫です。」



古畑さんは慌てるカナメさんを、"関根"と呼んで、肩を持った。



「あ…あ…あの…」


ようやく声が出るようになったが、


言葉にならない。



それどころか、


夢なのか現のことなのか、

それすらの判断も私には出来ていなかった。





「良かった…声が聞こえた…無事なのですね…?
真希さん…とおっしゃったかな?申し訳ありません、」


え……


カナメさん…?



カナメさんは

私の声を聞いて、安心した声を出し、


私がいる所から少し右にずれた方を向いて、頭を下げた。



「…関根様、真希様はもう少し左にいらっしゃいます…」


そう言って、
古畑さんがカナメさんの身体を私の方に向けた。


「……それは失礼…」



ゆっくりと…


ゆっくりと…


何かが私に忍び寄る…



そして

カナメさんは
言葉を続ける。




「すみません…
目が不自由なもので…」


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