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近くて遠い
第19章 運命
「…………」
閉口する光瑠に要は優しげななまざしを向けた。
光瑠はドキッとした。
彼は本当は見えているんじゃないか…
とそんな気がしたのだ。
「お蔭で恋に落ちました。」
と要はクスリと笑った。
「恋……?」
事故に合い、失明したものとは思えないほど要は柔らかな表情をしている。
「ええ。事故に合うほんのちょっと前に。」
「……女に興味がないと言ってたお前が…」
要は光瑠の目から見ても、とても凛々しい顔立ちをしていて、男らしかった。
背も自分と変わらないくらい高い。
夢中になって追いかけてくる女を幾度となく見たが、未だかつて、それを相手にする要を見たことがなかった。
『興味がないので…
それに今の私の恋人は仕事ですから。』
それが彼の口癖で、
光瑠はそんな硬派なところも気に入っていたのだ。
「じゃあ今はその相手と…?」
光瑠の質問に要は徐々に顔を歪ませた。
「いえ……
一度会ったっきりです。」
「一度会ったって…?
それはどういうことだ?」
意味が分からなかった。
一度会っただけ…
それは…
「一目惚れしました。
雨の中、弱々しく、さまよっていた少女に…」
要はその時の事を思い出すように話し始めた。
「……」
光瑠は何も言わずにジッと黙って要の話を聞いていた。
この硬派な男が一体どんな風に恋に落ちたのか、それに大きな興味があった。
「目を奪われました。
自分の善と悪に葛藤していて……あんなに懸命に生きようとする人を始めてみたような気がします。」
善と悪に葛藤…?
要の説明はやや抽象的で掴みにくい。
それでも彼がとても興奮しているのはその口ぶりから伝わる。
「それで…?」
光瑠はひどく続きが気になった。
「お金を渡して、
そして……それだけです。」
「それだけ?」
「はい。ただ、お金が貯まったら、返しにおいで…。また会う口実にそんなことを言ったと思います。
10分くらいの出来事ですね…」
要は顔をあげて、
どこか遠くの一点を見つめた。
閉口する光瑠に要は優しげななまざしを向けた。
光瑠はドキッとした。
彼は本当は見えているんじゃないか…
とそんな気がしたのだ。
「お蔭で恋に落ちました。」
と要はクスリと笑った。
「恋……?」
事故に合い、失明したものとは思えないほど要は柔らかな表情をしている。
「ええ。事故に合うほんのちょっと前に。」
「……女に興味がないと言ってたお前が…」
要は光瑠の目から見ても、とても凛々しい顔立ちをしていて、男らしかった。
背も自分と変わらないくらい高い。
夢中になって追いかけてくる女を幾度となく見たが、未だかつて、それを相手にする要を見たことがなかった。
『興味がないので…
それに今の私の恋人は仕事ですから。』
それが彼の口癖で、
光瑠はそんな硬派なところも気に入っていたのだ。
「じゃあ今はその相手と…?」
光瑠の質問に要は徐々に顔を歪ませた。
「いえ……
一度会ったっきりです。」
「一度会ったって…?
それはどういうことだ?」
意味が分からなかった。
一度会っただけ…
それは…
「一目惚れしました。
雨の中、弱々しく、さまよっていた少女に…」
要はその時の事を思い出すように話し始めた。
「……」
光瑠は何も言わずにジッと黙って要の話を聞いていた。
この硬派な男が一体どんな風に恋に落ちたのか、それに大きな興味があった。
「目を奪われました。
自分の善と悪に葛藤していて……あんなに懸命に生きようとする人を始めてみたような気がします。」
善と悪に葛藤…?
要の説明はやや抽象的で掴みにくい。
それでも彼がとても興奮しているのはその口ぶりから伝わる。
「それで…?」
光瑠はひどく続きが気になった。
「お金を渡して、
そして……それだけです。」
「それだけ?」
「はい。ただ、お金が貯まったら、返しにおいで…。また会う口実にそんなことを言ったと思います。
10分くらいの出来事ですね…」
要は顔をあげて、
どこか遠くの一点を見つめた。