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近くて遠い
第30章 三つの想い
────────…

扉の閉まる音を聞いて、要はフッと肩の力を抜いた。


震えている真希を愛しくて思う気持ちと救いたいと思う気持ちで胸が溢れていた。



要は未だに熱を帯びたその頬に触れる。


自分のために、愛しい人に怪我を負わせてしまった…


それがとてつもなく悔しかった。



「痛みますか……?」



要の問いに真希がか細くいいえと言う。



「僕のせいでっ…!」


目さえ見えていれば、


こんなことにはならなかった…



目さえ見えていれば……。



「要さんは…いつも私を助けて下さっているから…」



そんな優しい真希の言葉も今の要には辛かった。



愛している。

だけど


今のままでは…


今の自分では、真希を守ることはおろか、自分を守ることすら出来ない…。



心の中の天秤が揺れる。





必ず、彼女を守ってみせる。




要は真希を抱き締めながら、強く決意した。

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