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近くて遠い
第30章 三つの想い
───────…


泣きじゃくるメイドさんたちを見つめながら、私は中々外に出る事が出来ずにいた。


「ごめんね…」



出ていかないよ、と言ったばかりだったのに…



「行かないで下さいっ…!」



愛花ちゃんは私の手を掴んで俯いたまま、ずっと泣いている。


一杯になったリュックを背負った隼人がそんなみんなの状態を不思議そうに見ていた。


「ご主人様は真希様のことをっ…真希様のことをっ…」


「愛花ちゃん…もういいから…」




─────二度と俺の前に現れるな


冷たく放たれた言葉。



「全部全部ウソだったの…」


何もかも…全部…。



「何でみんな泣いてるのー?」



隼人が手を繋ぎながら私を見上げた。



「……しばらく…会えないからだよ…」



「えー!会えないのー?!」




私の言葉に隼人が大きく目を見開いた。


その隼人の声により周りのメイドさんたちが涙する。

しばらくじゃない……


一生……


もう会えない…。





本当に、みんな素敵な人たちだった。

こんな私を『真希様』と言って慕ってくれて、丁寧に仕事まで教えてくれて…


一生ここで暮らせたらと思ってた…






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