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近くて遠い
第30章 三つの想い
────────…

鳴り止まない破壊音。


ガラスが割れる音…

物が壊れる音…





あの日々に戻ってしまった…


古畑は、光瑠の部屋の前に立ちながら、顔をしかめていた。


しばらくして、音が静まった頃、古畑は深呼吸をしてから主人の部屋の扉を開けた。



「光瑠様…」



荒れ果てた部屋。


ガラスや机の上にあったもの全てが床に散らばって、足の踏み場もない。


カーテンは強く引っ張ったのか、半分だけレールから外れてだらしなくぶら下がっている。



そして部屋の奥に目をやると、壁に背中を付けて座り込み、定まらぬ視点で天井をぼんやり眺める光瑠がいた。


古畑の存在に気付いているのかいないのかも分からないほど、光瑠からは生気を感じられない。



乱れた美しい色の髪から、虚ろな瞳がのぞく。




「光瑠様っ…」



見ていて痛々しいその姿に古畑は再び声を掛けた。



光瑠はようやく気付いたのか、ゆっくりと顔を古畑に向けた。



「笑いに来たか…」



力ないその言葉に、古畑は固まる。



何があったのか、定かではないにしても、真希が悠月に気付いたことが大きく関係しているだろう事は、古畑も分かっていた。



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