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近くて遠い
第34章 Sweet Night
「要さんっ…!見えないですっ…」


周りの視線に気付かない真希に要はクククと喉を鳴らして笑った。



愛らしい──


いつもは隼人がいるから、しっかりしているように見えたのだろうか…?



そんな事を思いながら、要は真希の手をひいて、チョコレートファウンテンまで導いた。




「……浴びたい………」



絶え間なく滑らかに吹き出すチョコレートを前に、真希がポツリと呟いた。



「おいしくなりそうですね…」




少し意地悪に笑いながら言葉を発した要に真希が赤面した。



色々なブースにある珍しいチョコレートを見ていると、真希は突然ある男に外国語で話し掛けられて戸惑っていた。



「えっ…あっ…」



慌てる真希の肩に要は手を回すと、代わりにその男の話を聞いて、流暢に言葉を返した。


ぽかんとしている真希に、大丈夫ですよ、と優しく要が声を掛ける。



「お一ついかが?って、ただそれだけを聞いているだけですから。」



要はそう真希に説明すると男が用意した小さなプレートに乗ったチョコレートを真希に差し出した。



「えっ…食べていいんですか?」



「もちろん。新作披露の会なのですから、食べて感想を言ってあげないと。」



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