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近くて遠い
第34章 Sweet Night
次に行きましょうか、と言って手を引く要さんに私は声を掛けた。



「どうしました?」



「あの……さっきのは何語ですか?」



私の問いに要さんは眉をあげて、え?と言ったあと、


「あー、オランダ語です。」



と答えた。



「オランダ語っ!?」



予想していなかった答えが返ってきて私は目を丸くした。



「すごい…」



惚けながらそう答えると、要さんはクスリと笑って私を見た。



「一応…秘書でしたからね。英語はアメリカに住んでいたので当たり前ですが、フランス語、ドイツ語、オランダ語、イタリア語、中国語……など多少の意思の疎通ができる程度に話せますよ。」


あ、あとスペイン語。


と付け加えた要さんに私は言葉が出ずに固まっていた。



ちょっと出来過ぎているんじゃないか、神様は不公平だ、とそんなことを思わずにはいられない。


高校中退の私なんかが要さんの隣にいていいのだろうか……




「…さぁ、固まってないで、行きましょ。」



こんな人に愛されているなんて……


まだ、信じられない……



「真希さん…?」



「あっ…すみませんっ…」



要さんの声にふと我に返り、私はそのあと色んなチョコレートを要さんと食べて回った。




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