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近くて遠い
第7章 接客
見破られた…どんなに拒もうとしても、有川様の視線の勢いは抗うほどができない。



「泣いてなんかないです。」



下唇をグッと噛んで、私は負けじと有川様を見た。



すると有川様はフッと口角を上げて笑うと私の身体を押し倒した。



「きゃっ」



訳が分からずそのままソファーに身体を倒すとすぐ目の前に有川様の美しい顔が現れ、両肩を捕まれたまま身動きがとれなくなった。



「有川様っなにをっ…!!」



「お前はウソをつくのが下手だな。謝ってばかりで弱そうに見えて強情………全くかわいくないやつだ。」



そんな…


ならばどうしてこんな…



「はなしてくださいっ!こんな力ずくで…」



「うるさい。お前は自分の身分が分かっていないな。」



怒鳴るわけでもない。


静かに、私の身体に染む込ませるかのような声。



身分……?


そんなものはないはずなのに…



「お金があるかないかの違いですか……?」



有川様への苛立ちというよりも世の中に対する苛立ちだったのかもしれない。


私は身動きが取れず圧倒的に不利な状態にも関わらず生意気に言い放った。

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