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近くて遠い
第10章 偽りと有川邸
取り乱したお母さんが胸を押さえて苦しそうに咳をする。
ごめんなさい…
ごめんなさい…
隼人もそんなお母さんを心配そうに見て一緒になって背中をさすった。
「はぁ……ゴホッ……真希…水をちょうだい…」
「僕持ってくるよ!」
素早く立ち上がって隼人が水を取りに行った。
「突然ごめんなさい…」
少しだけ落ち着いたお母さんの背中をさすりながら溢れそうになる涙を堪えた。
「はい、お母さん!」
「ありがとう、隼人…」
震える手でコップを掴むとお母さんはゆっくりと水を飲んだ。
ようやく落ち着いたお母さんから、コップを受け取ると、身体をベッドに横たわらせた。
ふぅ…とお母さんは息を吐くと私を再び見上げた
「そんなに、その人が好きなの…?」
「うん…」
ポツリと呟くと、再び部屋が静まり返る。
「お姉ちゃん、親切な人って傘の人?」
「えっ……」
静寂を破って発せられた隼人の言葉に胸が締め付けられた。
頭の中で
私の横を何の気なしに通り過ぎたカナメさんの姿が浮かんで、また消える。
「傘……?」
首を傾げてお母さんが隼人を見る。
「うん、お姉ちゃん雨が降ったとき親切で素敵な人に傘貸してもらったんだよ!!それずっと大事そうに持ってたんだ!」
さっきまで拗ねていた隼人が何故か嬉しそうにお母さんに伝えた。
「そう……そんなことがあったの…それで?その人なの?」
お母さんの視線が隼人から私に移る。
「……そう。素敵な出会いでしょ…?」
無理矢理笑顔を作れたのは、もしそうだったらどんなに幸せか、考えたからだ。
ごめんなさい…
ごめんなさい…
隼人もそんなお母さんを心配そうに見て一緒になって背中をさすった。
「はぁ……ゴホッ……真希…水をちょうだい…」
「僕持ってくるよ!」
素早く立ち上がって隼人が水を取りに行った。
「突然ごめんなさい…」
少しだけ落ち着いたお母さんの背中をさすりながら溢れそうになる涙を堪えた。
「はい、お母さん!」
「ありがとう、隼人…」
震える手でコップを掴むとお母さんはゆっくりと水を飲んだ。
ようやく落ち着いたお母さんから、コップを受け取ると、身体をベッドに横たわらせた。
ふぅ…とお母さんは息を吐くと私を再び見上げた
「そんなに、その人が好きなの…?」
「うん…」
ポツリと呟くと、再び部屋が静まり返る。
「お姉ちゃん、親切な人って傘の人?」
「えっ……」
静寂を破って発せられた隼人の言葉に胸が締め付けられた。
頭の中で
私の横を何の気なしに通り過ぎたカナメさんの姿が浮かんで、また消える。
「傘……?」
首を傾げてお母さんが隼人を見る。
「うん、お姉ちゃん雨が降ったとき親切で素敵な人に傘貸してもらったんだよ!!それずっと大事そうに持ってたんだ!」
さっきまで拗ねていた隼人が何故か嬉しそうにお母さんに伝えた。
「そう……そんなことがあったの…それで?その人なの?」
お母さんの視線が隼人から私に移る。
「……そう。素敵な出会いでしょ…?」
無理矢理笑顔を作れたのは、もしそうだったらどんなに幸せか、考えたからだ。