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不良の彼は 甘くて強引
第8章 S彼とお出掛け

「…まぁ、これでいいんじゃないか?」

こうして何着か試したのち、柚子に合った(というより匠の好みに合った)服が決定。


キャミソールの上に、薄手の緩いニット、さらりとした白スカート

ブラウンの無地のニットには袖に桃色のリボンが編み込まれていた。



「そうですか……ハァ」

柚子は顔を真っ赤にし俯いていた。服が似合っているかどうかなど、今はどうでもいい。



試着室から出て来た二人。

出迎えた店員は照れ笑いを浮かべている。

当然といえば当然か。


「これはこのまま着て行く。こっちを袋につめてくれ」

柚子がもともと着ていた服を差し出す。

「かしこまりました~!」

赤面した柚子の顔を覗き込み店員はレジへ向かった。




「本当に…買うのですか?」

何でこの人に服を買ってもらうことになったのか、そもそもがわからない。

「ああ、やるよ」

全然嬉しくないんだけど…

「嬉しいです」

こういう時は、礼を言っておかないと。



「少しは素直になったな」


「……」



素直になった──


そう言った時の彼の顔は
いつもの皮肉っぽい笑みではなくて


にこやかな、優しげなものだった──





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