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不良の彼は 甘くて強引
第9章 再会:出会い
四年前二人が出会ってから、その関係は一年ほどに及んだ。
匠は──
彼女の女らしい完璧な身体と、なおも毅然とした態度をえらく気に入り
脅しては無理やり彼女を犯しその身体を何度も味わった。
初めは匠を恨んでいた紗織も次第に彼に惹かれていっているように見えた。
二人で旅に出た事もある
海に行ったり、乗馬を楽しんだり、芝居を見に行く事もあった。
第三者からみればそんな二人は紛れもなく
"付き合っている"状態だったろう。
だがその関係は、匠が大学生になった春に終わることになる。
────
『――俺には…好きな女がいる』
『…そう』
『お前だよ』
大学にも合格し自分に絶対的な自信を持っていた匠は、当然彼女は喜ぶと思っていた。
だが、彼女の返事は違った。
『無理よ』
予想だにしていなかったその返答に
彼は何も言葉が出ない。
『わたしにはピアニストになる夢があるの、あなたと一緒にいたらそれは叶わないわ』
『……!!』
『ちょうど良かったのかも、もう、潮時ね…』
そう言って、あいつは俺の前からいなくなった。
音大に行けばすぐ見つかっただろうが探しに行くのは自らのプライドが許さない。
そうして気付けば、あれから三年…
今更俺の前に現れていったい何のつもりだ。
あの時、俺を傷つけ去って行った分際で──
「くそッ、面倒くさい…」
そう言い捨て
匠はアパートへ戻っていった。