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不良の彼は 甘くて強引
第9章 再会:出会い


手の甲で柚子の尻に触れていたその手は、今度は堂々と手のひらで触れてきた。


「……ッ!!」

柚子は尻の位置をずらし拒絶の意を表す。

だがその手は彼女から離れなかった。


“こんな時間に痴漢なんて…確かに混んではいるけれど、満員電車ってわけでもないのに”


ここがもし道端なら、柚子はこの男を投げ飛ばしたかもしれない。

しかし電車という密室空間が彼女の抵抗を制限していた。



「…あの…ッ」



しつこく彼女の尻を撫で回す手に、彼女は助けを求めようと隣に立つ男を見上げる。



だが…


「……え!?」


その男はこちらを向いて
微かに笑っていたのだ。



“いったいどういう…”



柚子の尻を触っているのは後ろの男。

しかしその他の──

横に一人、斜め後ろに二人

それらの男たちは周りから小柄な柚子を隠すように囲み、その顔には下品た笑みが浮かんでいた。



“複数犯…っ…”


柚子の顔が一気に青ざめる。



危ない!


本能的に感じた柚子は男たちから逃れようと動き出した。



すると──




スチャッ...!



横の男が取り出したのはカッターナイフ



「──…!!」


「大人しくしとけ…」



声を潜めて囁いた。





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