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不良の彼は 甘くて強引
第9章 再会:出会い
「…ハァ……ヨウコ…?」
車内に響く大声に陵辱の指が止まり
乗客は白い目で声の主を睨みつけていた。
「ヨウコだろ?」
痴漢たちの隙間から、ヨウコと叫ぶ若い、茶髪の男の姿が見える。
彼は紛れもなくわたしを見て叫んでいた。
「くそッ…いいところだったのによ……!」
舌打ちとともに柚子のショーツから素早く指が引き抜かれる。
“…わたし、ヨウコじゃないけど……”
でも、有り難い──
「うん…!! ハァ…そうです」
柚子はフラフラとした足取りでその男のもとへ移動した。
グラッ
電車が揺れ、彼女はバランスを崩す。
「…おっとッ」
男はとっさに彼女を抱き留めた。
いつもなら恥ずかしがる柚子も、今はすっかり疲れ果てそのまま男の腕にすがった。
電車が次の駅に止まるまで男は黙って柚子を抱き留めていた。
「次は〇〇駅、〇〇駅・・・」
アナウンスが流れる。
「…降りるよ?」
「…はい」
男は上手く歩けない彼女を庇うようにして、ゆっくりと電車を降りていった。