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不良の彼は 甘くて強引
第9章 再会:出会い
「それにしても、一年生なら午後も講義があるんじゃないのかい?」
「……っ」
柚子にとって最も突かれたくないことを聞かれた。
理由はどうであれ授業をさぼっているのは事実
何も言い訳はできない。
「すみません…」
素直に謝る彼女に、翔は可笑しそうに笑った。
「ハハッ、なにも謝らなくても……俺は教授ではないし、もう高校とは違うんだよ」
「だけど……」
「…理由があるんだろう?そんなに堅く考える必要はない」
翔は立ち上がり、彼女に手を差し出した。
「そろそろ帰ろうか、あまり長く引き留めるわけにはいかないし…、ホームまで送ろう」
────
ホームに着いて、改めて柚子は礼を言った。
「三上先輩、先程は本当に…本当にありがとうございました」
深々とお辞儀をする。
翔は少し照れたように頭をかいた。
ミディアムショートの
黒に近い茶色の髪色
「そんなに丁寧に礼を言われたのは初めてだな」
電車到着のアナウンスが流れるころ──
別れ際、翔は柚子に聞いた。
「君の下の名前は…何だったっけ、矢崎さん」
聞かれた彼女は笑顔で返した。
「…柚子です」
「そうか…じゃあ柚子ちゃん、気をつけて帰るんだよ、電車の角には立たないようにね」
電車に乗り込んで会釈をした彼女を、翔は笑顔で見送ったのだった。