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不良の彼は 甘くて強引
第2章 運命の日

彼女の声は
静かに

──そして力強く

薄暗い倉庫に響いた。




男たちの笑い声がピタリと止み驚いてこちらを振り向く。



「・・・・!!」



そこにいたのは、小柄で、育ちの良さそうな…

震える女。



「…!?」


男たちの顔がみるみるうちにもとの醜悪な笑みに覆われていく。


「はぁ!!?」

「何だよマスク女!! ビビらせるんじゃね~よ」



その声に、彼女ははっと我に返った。




「あぁ…っ」


馬鹿だ

馬鹿だわたしは

こんないかにも弱そうな女が現れたからといって、逃げる男がどこにいるというのか。



「お前も可愛がってほしいのかよ」


後ろを刈り上げだ短髪の男が一人
こっちに近づいてくる。


彼女はあまりの恐怖に持っていた鞄を落とした。


中のノートが散らばる。


「警察にでも通報したか?あぁ!?」


逃げなくては…でも
足が思うように動かない。






ガシッ!!!




男の手が彼女の細い手首を掴んだ。



「――ッ!!」



その途端、とてつもない寒気が背筋を流れた。



い――…!



「嫌!!! 触らないで!!!」




柚子は男の襟元を掴み、力いっぱい引き投げた。




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