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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
「うん、できてる。じゃあ次は……」
柚子は手持ちの裏紙に、英文を書き綴った。
「これは?どう訳す?」
勉強机に座った女の子は、彼女の書いた英文を訳し始める。
「メアリーは、テレビが付いた状態で…寝てしまった?」
「そう正解!この場合は……テレビを付けっぱなしにして、がより自然かな」
「そっか……」
「でも意訳はまだできなくても大丈夫よ。とりあえず、今日のところは合格」
最後の復習を終えて二人は差し入れの紅茶を飲む。
「先生、もうすぐ定期試験があるの」
「英語は大丈夫だと思うんだけどね。数学は?どんな感じ?」
「心配かなぁ~」
「ふふっ、なら、次回は数学にしましょう。問題集のテスト範囲のところを解いておいて。わからない問題は残していていいから」
「わかった!」
紅茶を飲み終わり、母親に挨拶をすませ家をでる。
外はすっかり暗くなっていた。
“素直な子で良かった”
柚子が家庭教師として派遣された家は、実に好感のもてる家族だった。
母親も父親も穏やかで、生徒の子も勉強熱心。
受験生の姉がいるようだが、その子は塾に通っているのでまだ会ったことはない。
今日も気持ち良くバイトを終えた柚子は、アパートへと帰った。