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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
お昼時のためカフェテリアは混んでいた。
そこでいつものように昼食をとる柚子と美佳。
「それにしても、柚子は脚が細長くて羨ましい」
「そうかなー?」
友人のお世辞をさらりとかわしながら野菜スープを口に運ぶ柚子を見ながら、美佳はさらに続けた。
「…ねぇ、何でいつもマスクつけてるの?」
「・・・・」
柚子の手が止まる。
美佳は軽く溜め息をついた。
「あ…いや、なんとなく理由はわかるけどさ…」
この子が男子の目を避けているのは前々から気付いていた。
風邪でもないのに極力マスクを外さないのは、要はそういうことだろう。
“でも、勿体無い…”
こうして、マスクを外して食事をするこの子を見ていていつも思う。
そして今日、改めて思う。
“柚子は美人だ”
この子は、周りを魅力せずにはいられない自分の美しさを知らないのだろうか
それとも
知っているから隠すのか──
どっちにしろ勿体無い。
「・・・・」
「目を引くのが嫌ならしょうがないけどね…でも、もう手遅れだよ」
「えっ」
「さっきから、すれ違う人間みんな、柚子を振り返って見てる」
美佳はニンマリと笑った。
「……////」
ふふ、赤くなった
「平気だって!もっと喜びなさい!! 可愛いってことよ」
「…うん//」
柚子は止まっていた手を再び動かし、家から持参してきた作り置き野菜スープを口に運んだ。