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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
「柚子ちゃん」
名前を呼ばれて振り返る。
「あッ……」
「急にごめん、覚えてる?」
三上先輩!!
「もちろん覚えています、こんにちは」
柚子は平静を装って挨拶した。
「実はさ…あそこの奴らに、俺は柚子ちゃんと知り合いだって話したら、嘘つけ、じゃあ証明してこいとか言われちゃって…」
「そうだったんですか」
よくわからないが、とりあえず遠くにいる翔の友人たちに軽く会釈をする。
「先輩、ここに座られますか?」
美佳は気をきかして柚子の横の席を翔に勧めた。
「ありがとう、でもこれといった用事は無いんだ」
彼は爽やかに断り
そして再び柚子を見やった。
「──…その服……お気に入り?」
「はい…実はこれ、ある人からプレゼントして頂いたんです」
「そうか…」
優しく微笑む。
「似合ってるよ、上品だけど少しふわっとした雰囲気が…。それを選んだ人は君の事をよくわかっているんだね」
そう言って翔は仲間の元へ戻った。
「カッコイーー」
美佳がボソッと呟く。
「……」
わたしの事をよくわかってる──
翔の言った言葉を頭の中で繰り返す。
「まさかね…」
とても信じられることではないけれど…
でも、そう言ってくれた翔に柚子は心のどこかで感謝していた。