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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心


そしてその日

柚子の前に再びあの女性が現れた。



「こんにちは、矢崎さん」


法学部の校舎を出た柚子は、自分の名を呼ぶその姿を見つける。


「あ、九条…さん?」


「そうよ、名前知ってたから今度は楽に見つけられたわ」


確かに名乗りはしたけど、学部は教えてなかったような


「どうしてここが?」

「大学の人にあなたの学部を聞いてみたのよ。そしたらあなた…有名人じゃない!!」


有名人…という言われ方はあまり嬉しくないけど、九条さんの言い方に皮肉っぽさは含まれてはいなかった。



「今日は時間は大丈夫?」


九条さんは優しく尋ねる。


今日はこの後用事があるわけではなかった。

けど…

どう考えても、やっぱり怪しいもの…。



返事を渋る柚子に、紗織は申し訳なさそうに付け加えた。


「ごめんなさいね…ただもし迷惑でなければ、近くのお店かどこかでゆっくりお話したいの」


「…どうしてですか?」


不安げに聞き返す柚子。


「特に用事があるわけじゃないのだけれど…、あなたに少し興味があるの」


「・・・」


「わたし、市ノ瀬匠の知り合いです」




.....





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