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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
元カノって……
えっ、なんで元カノがわたしのところに?
「わ、わたしは別に…、匠さんの彼女とかではありませんから!」
聞かれてもないのに慌てて否定する。
「そうかしら? デートだってしてたじゃない」
デート???
そんなことした記憶がない…。
“…あ”
服を買いに行った日
確かに端からみたらデートになる気も……。
「違うん、です、あれは…半ば強引というか、えっと…っ…とにかく、そんな関係ではないんです」
柚子はなんとか誤解を解こうと弁明する。
「……!」
その様子を見ていた紗織は急に真面目な顔つきになった。
「──ならあなたも…そうなのかしら?」
「…?」
「脅されているの?」
紗織さんの言っている意図がすぐには呑み込めなかった。
「──…」
つまりは、こういう事?
「紗織さんも、そうだったんですか…」
「……ええ」
言葉を失うわたしの前に、紅茶とケーキのセットが運ばれてきた。
紗織さんは紅茶を一口飲んでつづけた。
「二十歳の時、匠に処女を奪われたわ──無理やりね」
柚子は黙って彼女の言葉を聞く。
「その後も脅されては逆らえず何度も抱かれて…、気付いたら身体はすっかり彼のものになってた」
「……」
「悔しいのに、求めてしまう…自分の身体を呪ったわ」
“わたしと似ている”
すっかり固まった柚子。
それに気付いた紗織は恥ずかしそうに謝った。