この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
なんで別れたんですか?
柚子は率直に聞いてみることにした。
紗織は少し切なげな笑みを浮かべる。
「告白されたの、彼に」
「匠さんにですか…!?」
信じられない。
「で、断ったわ。それからは会うこともなかった」
さらに信じられない。
やっぱりこの人、ただ者じゃない。
でも、当然よね…
「OKの筈ないですよね、そんな酷い扱いを受けて」
無理やりに奪っておいて後から告白なんて…。そんな自分勝手な扱いをされて、紗織さんのような女性が受け入れるなんて考えられない。
だが、紗織の返事は意外なものだった。
「いいえ…、いつの間にか好きになりかけていたのかもしれない」
「…!!」
「だけど!告白された時に気付いたのよ…。このままでは駄目だって。こんな関係は終わらせないといけない、って…!」
「……」
「匠にされた事を許すことはできない、わたしの本心はそうだったの」
紗織の目はどこか遠くを見ていた。
「だから、別れたの」
──…
しばらくファミレスで話をし
外も暗がりに近づいてきたころ二人は帰った。
柚子は、紗織の言った言葉を何度も何度も頭の中でリピートしていた。
いつの間にか好きになった
だけど、告白されて別れを決心した…
自分の本心に、気付いたから
「──…」
なら、わたしの本心は?
どうなんだろう…。