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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心

なんで別れたんですか?

柚子は率直に聞いてみることにした。

紗織は少し切なげな笑みを浮かべる。


「告白されたの、彼に」

「匠さんにですか…!?」

信じられない。


「で、断ったわ。それからは会うこともなかった」

さらに信じられない。

やっぱりこの人、ただ者じゃない。



でも、当然よね…


「OKの筈ないですよね、そんな酷い扱いを受けて」


無理やりに奪っておいて後から告白なんて…。そんな自分勝手な扱いをされて、紗織さんのような女性が受け入れるなんて考えられない。


だが、紗織の返事は意外なものだった。



「いいえ…、いつの間にか好きになりかけていたのかもしれない」

「…!!」

「だけど!告白された時に気付いたのよ…。このままでは駄目だって。こんな関係は終わらせないといけない、って…!」

「……」

「匠にされた事を許すことはできない、わたしの本心はそうだったの」


紗織の目はどこか遠くを見ていた。




「だから、別れたの」







──…





しばらくファミレスで話をし
外も暗がりに近づいてきたころ二人は帰った。


柚子は、紗織の言った言葉を何度も何度も頭の中でリピートしていた。



いつの間にか好きになった

だけど、告白されて別れを決心した…

自分の本心に、気付いたから



「──…」



なら、わたしの本心は?


どうなんだろう…。








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