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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
─────
ピンポーン
「──…ぐ」
いったい何だ朝早く…今日は日曜だぞ。
苦々しげに起きた匠は、まだ十分に開いていない目でモニターを覗き込む。
「・・・・」
くそ、面倒くさい
「…待ってろ」
匠は適当にシャツとズボンを着用し、アパートの外へ降りていった。
「おはよう、匠」
そこにいたのはあの女だ。
「あら…クスクス、寝起きだったかしら?」
「黙れ…、何の用だ」
匠は頭を掻きむしりながら近づく。
「わたしこの前、柚子ちゃんに会ってきたわ」
「は…どういうことだ?」
紗織の言葉に、なぜだか一気に眠気が吹っ飛んだ。
「凄くいい子じゃない」
「お前には無関係だと言ったはずだ」
紗織は不敵に微笑む。
「関係…あるわよ。彼女は今、かつてのわたしと同じ状況に立たされてるんだから」
「……」
「これ以上、あの子をあなたに近づける訳にはいかないわ」
一瞬の沈黙
それまで紗織を睨みつけていた匠の口角が僅かに上がった。
「ふんッ…ごちゃごちゃとくだらないことを。お前はただあいつに嫉妬しているだけじゃないのか?」
「……」
「今更、俺の周りをうろちょろされても…」
「黙りなさい」
自らを嘲笑う匠の言葉を紗織は遮った。
「嫉妬ですって?」
その瞳には怒りの色が見える。
「勘違いしないで。わたしがあなたに感じるものは 愛ではなくて恨みよ。自分がどうやってわたしを無理やり奪ったか…もう忘れたの?」
「…!」
「確かに何度も惑わされそうにはなった…!! けど、あなたの告白を拒絶した、あれがわたしの本心よ…何様のつもり!?」
怒りのままをぶつける紗織。
「・・・・」
匠の瞳が冷たく光を放つ。