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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心
「……!!」
匠のいきなりの行動に呆気にとられる柚子。
匠は彼女のシャーペンを耳の横で回しながら暫く問題を凝視していたが、突然──
まるでスイッチが入ったようにペンを走らせ始めた。
柚子はただ黙々と問題を解く彼の横顔を見ている。
「──…」
かっこいい
わたしはそう思った
けど
同時に紗織さんの言葉が浮かぶ
《わたしの本心は
彼を許すことができなかったの──》
わたしの本心は…
彼に惹かれてはいけないと言っている。
わたしや紗織さんを犯したことにしても
彼のやったことは許される事ではないのだ。
そしてわたしも
それらの事実を受け入れる事はできないし、したくもない。
黙って手を動かす匠
彼を静かに見守る柚子の瞳は
「……」
…悲しい色をしていた。