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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心

「……ハァ」

三十分ほどが経過し、匠はようやく顔をあげペンを置く。

頭をフル回転させた後で匠は少し落ち着きを取り戻していた。


「…帰るぞ」

「……」

数式と図形で埋め尽くされたルーズリーフを柚子に返すが、彼女は俯いたまま反応しない。


「来い」

「…嫌です」


彼女の言葉が耳に入っていないかのように、匠は荷物をまとめあげ問答無用で連れて行く。


通路に出ると二人の姿に辺りが急に騒がしくなり

匠はそれらの野次馬たちに、無言のまま冷めた目線を送った。


その目線に

男たちは震え上がり
女たちはよけいに色めき立つ。





──匠は彼女を人気のない校舎裏に連れて行った。



そこで
二人分の荷物を地面に落とした。



「…っ、ハァ」

無理やり引っ張られ続けた柚子は息を切らしていた。


そんな彼女の腕は離さぬまま
匠は柚子を引き寄せ抱きしめる。





「…んんっ」



そして、当たり前のように塞がれる唇──

もがく柚子だが、その腰と頭は力強く固定されていた。


互いの身体で挟まれた腕で匠を押し返そうとしても、後ろに回された腕はびくともしない。


「…んん-!!」

それでも柚子は拒絶の声を出す。



匠は腰に回した腕はそのままにゆっくりと彼女の唇を解放した。



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