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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心


「ハァ、ハァ…、ハァ…!」

「──…九条紗織という女に会ったようだな、奴に何か…入れ知恵でもされたか?」


匠の鋭い目は柚子の目を真っ直ぐ捕らえていた。


「奴はお前に何を話した」

「……!」

「答えろ…!!」


柚子の腰と背中に回された腕が、彼女の顔を匠に近づけるようにその身体を引き上げた。


「…っ」

柚子の足が僅かに宙に浮く。



「答えろ…」


“負けては、いけない…!! ”


恐怖に打ちのめされそうになりながらも、柚子は毅然とした態度を貫いた。


「あなたが昔、紗織さんにしたこと…!! あなたがまるで玩具のように扱ったのは、わたしだけではなかったのですね」

「……」

「あなたの優しさに感謝したこともあります、…でも、許すことはできない…!!」


宙に浮いた柚子は、苦しげに答える。




「──…なら」


匠は表情を変えない。



「俺と勝負でもしてみるか?」


「え!?」


匠はさらに顔を近づける。



「俺を許せるかどうか──」



そして彼女の口に強引に舌がねじ込まれた──。




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