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不良の彼は 甘くて強引
第11章 ベンチ

その日から、二人はその場所で共に時間を過ごすのが日課のようになっていった。
同じベンチに座って
黙々とそれぞれの勉強に勤しむ…
そんな二人は、端から見れば完璧にカップルだったろう。
だが柚子にとって
翔はそのような存在では決してなく
尊敬する人
まさにそうだった。
柚子がベンチにいても翔が現れない日も勿論あったしその逆もまたしかり。
雨の日は当然行かないし、用事があれば普通にそちらを優先する。
つまり、特別な何か " 約束 " がそこにあるわけではなかった。
ただ偶然いるから…一緒にいる。不思議な時間。
三上先輩が好きなのかと友人に尋ねられでもしたら
「先輩として、好き」
わたしは即答するだろう。
確かに変わった関係かなとは思っているけれど、恋愛感情はそこにはない。
だって…
三上先輩の隣は、すごく落ち着けて勉強に集中できるもの。
もし
恋人として好きな人だったら
そういう訳にはいかないものなんでしょう?
「もっとドキドキして、そわそわして…」
そういう…ものでしょう?

