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不良の彼は 甘くて強引
第11章 ベンチ
残された匠
「何だあいつは」
誰彼かまわず愛想を振りまくようなあの笑顔は気に入らないが
珍しく、自分と対等に話のできるレベルの人間だと感じた。
“あいつが、紗織の言っていた男か…”
匠は柚子の方に振り返る。
いつの間にか彼女はノートを開いたまま居眠りしていた。
匠はベンチの方に回り込み柚子の前に膝をつく。
「スー スー」
「……」
頭がコクリコクリと横に揺れ、もう少しで倒れてしまいそうだ。
「おい」
声をかけるが
「スー…」
柚子は起きない。
匠は溜め息をついた。
「……ったく」
ぬるい時間は、そろそろ終わりだ──
「……おい!」
「──ッッ」
突然の大声に柚子は飛び跳ねるように目を覚ます。