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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り
────…
暗闇が近づき
また今日も夜が訪れる。
都会の夜の街は
人間で溢れていた。
だが一歩狭い路地にでも入ってしまえば、そこに人影はなく危険な匂いが立ちこめている。
どこからともなく聞こえてくるのは
荒々しい怒鳴り声。
「──…」
ヒュッ
頭を狙ってとんできた拳を
サラリとかわす男。
「てめぇ!! 舐めてんじゃね……ッ!!」
よけられた男が咄嗟に振り向くと、腹めがけてかわりに蹴りがかえってきた。
「ぐ ゥッ」
鈍い声とともにうずくまる男。
その顔に、とどめの一撃が与えられた。
「…あ゙ぁ……」
蹴り飛ばされたまま
声も出せない状態で倒れている。
「……ハァ」
僅かに息を切らして
それを見下ろす男。
その周りには、同じように三、四人の男たちが声もなくうずくまっていた。
一人がなんとか立ち上がり逃走を試みる。
だが、それを許さぬ男が前に立ちふさがった。
「ゆ、許してくれ!」
「……」
慈悲を請うその姿を男は冷たく見下ろす。
......
「いい加減、止めたらどうだい? …市ノ瀬くん」