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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り
やっぱり…
祭りなんかに誘ったから怒ってるんだ…!!
「あ、あの話は…! なかった事にして下さい」
柚子のその言葉に
匠は一瞬固まる。
「まさか…あの男と…!?」
「え?」
「…いや…っ、誰か他の男と行くのか…!?」
匠はあくまで無表情だ。
それでも、彼の苛立ちが頂点まで上り詰めているのが柚子にはわかった。
だがその理由がわからない。
「いえ、そんな人は…!!」
「他に誘われてはいないのか」
「え?は、はい」
「──…」
その返事に、匠の苛立ちのパラメーターがゆっくりと降下していく。
「なら、いい…」
そう言って立ち去ろうとする匠。
が、思い出したように柚子の方に振り返った。
「いや、まだだ」
「はい…っ…!?」
「お前の誘いを受けておこう。明日に駅で待ち合わせだ…何時がいい」
「時間!? …え、っと、 7時…?」
「なら7時だ。…遅れるなよ」
そう言い残して匠は講義室をあとにした。