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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り




───…




祭り当日


部屋の壁掛け時計は
午後四時半をさしていた。


彼女が乗る電車は六時発だ。

本当は六時半でも十分に間に合うが──

もし、もし何か不都合が起きて電車が遅れた時を考えて…。

「遅刻なんて絶対できない…」

早めに浴衣の着付けに入る。



浴衣の着崩れを考慮して、事前にメイクと髪はセットしておいた。


柚子は服を脱ぎ
下着姿になる。


「──…」


昨日の内にアイロンをかけた浴衣をクローゼットから取り出した。

紺色の縞模様の浴衣
帯は黒と白のグラデーション

非常に落ち着いた色合い。



浴衣を羽織り、裾を合わせる。

腰紐をきつく締めたら
おはしょりの調節
バンドも締めて…

その後の帯作り…
これに柚子は一番手こずっていた。

「難しい…!!」

なんとかリボンの形を作り、最後に鏡を見ながら全身を調節していった。


「ああ、ここも持ち上げるのよね」

首の後ろを 少し引っ張る。


髪のセットを始めてから…
気づけば一時間近く経っていた。




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