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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り
電車の中で、柚子はせっかくの浴衣が着崩れないように細心の注意を払った。
そんな彼女は自分に向けられた多くの視線に一向に気が付かない。
周りの乗客たちは男女問わず、目の前の浴衣姿の美しい女に夢中だった。
幼げな顔つき
だが紺の浴衣から伸びる白く細い首筋とアップの髪型が女の魅力を引き出している。
同じ大学の者だろうか…他にも数人の浴衣の女性が車内にいたが、その中でも彼女は際立っていた。
電車を降りた柚子は改札口へ向かう。
当たり前だがまだそこに匠はいない。
「あと30分以上か…」
改札口の隅で待つことにした。
すでに何人か浴衣姿の女性が彼女の前を通り過ぎていった。
女同士で待ち合わせする者
男女とも浴衣で歩いていく者
大学は駅からすぐだ──。