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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り
不意に、匠は現れないのではという不安に駆られる。
現れないならそれはそれで…
駅前のバス停にいる友人たちと合流すればいい。
“でも…”
柚子には匠を待つこの一分一分が非常に長く感じられた。
「ねぇ」
「……っ」
肩を叩かれ振り向く。
違う…
匠さんじゃない。
「君、すごく可愛い~、これからお祭り行くの?」
「そうですけど…」
「メルアド教えてよ、LINEでもいいし」
軽い…
その男は馴れ馴れしく柚子の肩に手をかける。
「あの…っ…!!」
.....
「──…悪いがそいつは俺の連れだ」
「あ!」
振り向くと、そこには匠がいた。
それは日本男子らしい浴衣姿…
ではなくて
シャツにジーンズ姿だったが。
「その手を離しな」
「なんだ、やっぱり彼氏持ちかよ?つまんねーっ」
匠を見た男はさっさとその場から立ち去る。
「……!」
約束の時間にはまだ十分以上早い。
時間ぴったりに来るだろうと思っていた彼女にとって、これは意外なことだった。