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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り
「こんばんはっ…」
「ああ、…行くぞ」
素っ気なく向きを変え大学の方へ歩き出す。
柚子は匠のもとへ駆け寄り
彼の一歩後ろをついて歩いた。
「……」
休日の夜のため人通りが激しい。
柚子ははぐれないよう浴衣を気にしながら匠の後を追う。
そんな彼女を気遣っているのか…彼は普段よりも少しゆっくりしたペースで歩いているようにも見えた。
大学に着いた二人。
周りは浴衣姿の男女で溢れている。
匠が振り返ると斜め後ろで柚子が俯いている。
微かに笑みを浮かべた匠は
彼女の耳元へ顔を寄せた。
「今日は…マスクは付けないのか…」
「……ッ」
あいた首もとに匠の息が吹きかかる。
恐る恐る顔をあげると
目の前に彼の顔が。
そのいつもより優しげな表情に
柚子の緊張が少しとけた。
「はい…」
柚子も自然と微笑んでいた。
「そっちの方がいい、…マスクがあるといちいち外すのが面倒だからな」
「…外す?」
柚子が聞き返すと同時
匠は彼女の唇に触れるだけのキスをした。
「……///」
途端に真っ赤になる。
「くっ、行くぞ……!!」
彼はさも愉快そうにキャンパス内に入っていった。