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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時

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祭り帰りの人間で溢れかえった駅前の広場。
そこに学友たちと語らう茶髪の男がいた。
大学最後の浴衣祭りも終わり、ともに楽しんだ友人に別れを告げる。
「じゃあまたな」
「ああ、おやすみ」
「やっぱりこのまま飲みに行かねー?明日も休みだし」
「今からかよ」
「俺行こっかな~」
「翔は、どうする?」
「俺か?…どうしようか…」
飲みに誘われた翔はどうしたものかと何気なく周りを見渡す。
「なら俺も…、…──ッ!!?」
承諾しようとした彼の声が止まった。
彼の目に飛び込んできたのは人波に逆らうように走ってくる
浴衣姿の女。
「翔、どうし…」
「わ、悪い!! 俺はパスだ!!」
翔は友人に唐突な別れを告げると
目の前を横切っていく彼女を追いかけた。
どう見ても
様子がおかしい…。
「待てって!」
翔は逃げる彼女の腕を後ろから捕まえる。
「柚子…」
「……っ」
いきなり腕を掴まれ
怯えた顔で柚子が振り向く。

