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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時

その証拠に、柚子の涙が少しずつ乾き始めていた。
翔は頬に添えた手を離し
柚子の頭をぽんぽん叩く。
「先輩…」
「だからもう、泣かないでくれ…柚子ちゃん」
何か言おうとする柚子を翔が遮る。
柚子の涙が止まっていくのに比例して、翔の目が逆に切なく細まっていくのに
彼女は気付いただろうか。
「そろそろ帰ろうか、…送るよ」
翔は彼女の手をとり優しく引いた。
その小さな手は彼女の涙でしっとりと濡れている。
それを握る手に力がこもる。
「浴衣、似合っているよ。凄く綺麗だ…」
改札口で柚子を送った翔は
最後に彼女にこう告げていた。

