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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時

───
「……、そろそろ離れろ…紗織」
紗織の背にまわした腕を下ろし、匠が言った。
それを聞いた彼女の腕はさらに強く匠に抱きつく。
「もう少し…! このままでいさせて…」
紗織は目を閉じ匠の胸に顔をうずめる。
彼女は自分でも混乱していた。
本当は
別れを告げに来たのだ。
彼女は来週にはアメリカに向けて日本を発つ。
そのことを匠に告げに来たのだ。
「…卑怯者よ…あなたは」
紗織は顔を上げぬままに呟く。
「身体を奪ったうえにわたしの心まで奪っておいて…!!」
奪われた心を取り戻したつもりだった
3年前、匠の告白を拒否した時に。
でも…それは不完全だった。
渡米した先でいくら男に誘われても、紗織の頭にはいつも匠の存在がある。
もう一度、彼に抱かれたい
もう一度、何もかもを奪い取るような力強さで、わたしを愛してほしい…!!
憎くて仕方がないのに
この気持ちばかりはどうしようもなかった。

