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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時
「俺は本気だった」
自分に抱きつく紗織をそのままに、匠は真っ直ぐ前を見据えぼそりと呟く。
「俺はお前に夢中だった、…お前を手放したくないと思った」
「……!!」
「だから、好きだという言葉を口にしたんだ」
匠の言葉の一つ一つに、紗織は信じられない心持ちで嬉しさに肩を震わせていた。
「なのにお前は…」
語尾が強まる。
「俺を拒絶して、俺の前からいなくなったんだ」
まるで何かが切れてしまったかのように、何かに訴えるかのごとくたたみかける。
その声は冷静なのに
その内容は冷静でない。
いつもの低音の声色なのに
言っている事はまるで駄々をこねる子供のようであった。
「匠…!!」
紗織には匠がどんな表情なのかわからないがその言葉だけで十分だった。
匠はなおも続ける。
「いつかまた、お前をこの手で抱く…それを思い続けていた…」
「……!!」
紗織の目に涙が溢れる。
「──…だが」
「……!」
「…、今は違う」