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不良の彼は 甘くて強引
第14章 そこを動くな
いきなり切られた電話を呆然と眺める柚子。
“彼は、何て言った?”
心を落ち着かせ匠の言葉を思い出す。
“ここに来る……って言ったわよね…!? ”
柚子は意味もわからず急な焦りに駆られた。
逃げないと…!!
何故か、逃げなければという衝動に突き動かされ
急いで荷物をまとめる。
教室を出て家に帰ろうと出口へ向かう柚子。
「あ…!!」
角を曲がって、遠く廊下の突き当たりに彼が現れた。
その目が柚子の姿を捉える。
「──…ッ!!」
柚子はUターンし、来た道を早足に戻り始めた。
「……逃げる気か」
柚子の耳には自分を追いかける足音が聞こえる。
肩に掛けた鞄を両手でしっかり握りしめ
早歩きだった柚子の足も次第に駆け足になっていった。
だが後を追うその音が遠のく気配はない。
「…ハァ、なんで…っ…」
何故追いかけてくるの
そして
わたしは何故逃げてるの…。