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不良の彼は 甘くて強引
第14章 そこを動くな



「おい、何だ?あの子」


階段を息を切らして駆け上がる柚子を、廊下を歩く生徒たちは不思議そうに見ていた。


「さぁー、…っわ!!」


少し間を空けて、同じルートを匠が追いかける。



“…なぜ逃げる…!!”


逃げても無駄だろうに、いつまでも諦めようとしない柚子の必死さに匠は苛つく。

そして、それをひたすら追いかける自分自身も馬鹿らしい。




「わっ 何だよあれ」

「あ…市ノ瀬さんよ!!」


目の前を通り過ぎる二つの影。

場違いな追いかけっこ。

すれ違う学生たちはみな呆気にとられている。




その中には、翔の姿もあった。




「おい翔、見てみろよ!変な二人が廊下で鬼ごっこしてるぜ」


「──…」


「あれ市ノ瀬じゃないのか?…あの女の子は……、おい…?…翔!どこに行くんだよ!?」






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