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不良の彼は 甘くて強引
第14章 そこを動くな
「ハンカチ?」
「匠さんが、落としたから…っ…」
そう言って、柚子は鞄から黒のハンカチを取り出した。
匠は片膝をついて彼女の横にかがみ込みそれを受け取ると小さく溜め息をつく。
「これを届けに来たのか」
「……」
柚子はコクリと頷く。
「それで…お前は泣いていたのか?」
小馬鹿にしたように笑いながら彼女の顎を掴み自分の方に向けた。
「…嫉妬したか」
「……ッ!!」
何て言い方…!!
他の女性を抱き締めたくせに。
その現場を見られたのに、悪びれる様子もない。
いつもと全く同じ
上から目線の高慢な態度。
あなたが──
わたしをどうしたいのか全然わからない。
からかっているの?
甘い誘惑に逆らえないわたしを嘲笑っているの?
あなたにとってはわたしは遊びの女で──
なのに
あなたを好きになってしまったから…。
「…した」
「…ん?」
「嫉妬……した、の…!」