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不良の彼は 甘くて強引
第14章 そこを動くな


「──…!」


匠は無言で柚子の顎を離した。


柚子は唇を噛み締め、俯き気味にそっぽを向いた。

自分が言った言葉に早くも後悔し始めている様子。




その柚子の姿に…匠は

「カワイイ」と、そう感じた。



こんな言葉が浮かぶのはいつぶりになるのだろうか…。




「…呆気ない…、もう勝負は終わりのようだな?」

「勝負…」

「俺を許すのか?──この俺を認めていいのか」


匠の身体が密着し、その顔が柚子を覗き込む。



「言っておくが…、一度手に入れた女に俺は容赦などしないぞ」



今までのどの辺りに容赦があったのだろうか…。





「そ、それは…、…──!!」


柚子が何か言いかけた時

突然部屋の明かりがついた。



「…っ…!!」


前方の扉から教授が入って来る。何か忘れ物でもしたようだった。

二人のいる所は席の陰で教授からは見えない。


こんなところ、見つかったら大変だ──


そう思い小さく縮こまった柚子。



だが、あろうことか


匠は彼女の顎を再び捕らえると

むりやり唇を重ねてきた。




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