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不良の彼は 甘くて強引
第15章 実家

思いもしない人と出会い柚子は固まってしまった。


「…あ…、違うのよ?別につけてたわけじゃないから」

戸惑う柚子に、紗織は微笑みかける。


「実はわたし、明日には日本を発つのよ。だから今日は、アメリカの友達に日本土産を買いにね…」

「え…?アメリカに?でも」


匠さんとは…?


そう言いかけた柚子は、思い直して止めた。

あの祭りの日の、紗織の自分に向けられた燃えるような瞳が蘇る。


気まずそうに下を向く柚子。



「柚子ちゃん」

「は、はい!」

「…それ、匠と海に行くの?」

紗織は、柚子が持っている水着を指差した。


「これは……!」

柚子は答えられない。

紗織は彼女に近づきその水着を手に取った。


「うーん、これはちょっと…彼の好みじゃ…ないかなぁ」

「そうなんですか?」


思わず聞き返してしまった。

紗織はそんな柚子を笑うと水着売り場を物色し始める。



気になった柚子は彼女の後ろをついて歩いた。



「匠はね、自分はシンプル系なんだけど…、女の子の服装とかは結構可愛い系が好きだったりするの」

「意外…、大人っぽいのかと思ってました」

「ああ、派手系は大嫌いよ?…何かこう…ふんわり系で、ちょっと上品な感じ…」

「…難しいですね」

「ええホントに…、わたしいっつも文句言われてたから」


紗織はそう言うと、昔を思い出すようにクスクスと笑った。


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